誰がバラエティ番組を堕落させたのか

オレたちひょうきん族」や「笑っていいとも!」を手がけた佐藤義和の著書「バラエティ番組がなくなる日」を読みました。
当時の番組製作の思い出から、現在のひな壇芸人ばかりのバラエティ番組批判まで、バラエティ番組の過去と現在、そして将来の行く末について書かれています。
オレたちひょうきん族」を作るにあたっては、かなり裏番組の「8時だョ!全員集合」を意識していた事が伺えます。
とにかく同じ事をしては勝ち目は無いという事で、それまでの予定調和的な誰にでも分かる笑いとは真逆のスタイルで番組が作られていくのでした。
その結果、アドリブ、スタッフの笑い声、楽屋落ちと掟破りな手法が持ち込まれたのでした。
こうして書くと、破壊的な事しかしていないように思えますが、あくまでも全員集合へのアンチテーゼとしてやった事であり、著者本人は実に作り込んだ番組にこだわってもいます。
プロデューサーとして手がけた「冗談画報」「夢で逢えたら」は多くのアーチストを起用し、ショー的要素の高い内容でした。
私は当時気が付かなかったのですが、1970年代の後期になると若者たちのテレビ離れが始まっていたそうで、「THE MANZAI」がそれまで年寄り臭かった演芸番組を一変させ、若い視聴者を呼び込む事に成功したそうです。
その後お笑い芸人のアイドル化が進み、バラエティ番組は若い層をターゲットにしたスタイリッシュなものへと変化し、今日に至っています。
著者が批判するひな壇バラエティの源流もここにあるのかと思うのですが、低予算、スポンサーの意向、そして何より製作スタッフの意欲と人材育成の不足を掲げています。
まあ確かに今の惰性で作ってるとしか思えない番組を見てると、尤もだとは思うのですが、でもアンタ自身が業界内にいる人間じゃないか!?と突っ込みたくなます。ちょこっとその点を反省する文は出てきますが。
著者なりにテレビ番組の在り方の理想論はあり、それに同意は出来るのですが、やはり今のテレビ番組を作っている世代に染み付いている思考や、テレビと言うメディアそのものの現在の位置変付けを考えると、中々難しいのではないかと思います。